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フェルミ推定とは?例題・解き方の5ステップ・コンサル面接対策を徹底解説
コンサルティングファームの選考、特にケース面接において避けては通れない壁、それが「フェルミ推定」です。
「日本に電柱は何本あるか?」「全国のスターバックスの1日の売上は?」といった、一見すると答えようのない難問を投げかけられ、戸惑う方も多いのではないでしょうか。しかし、このフェルミ推定は、単なるクイズではありません。ビジネスの現場で未知の課題に立ち向かうための、極めて実践的な「思考の武器」なのです。
本記事では、フェルミ推定の基本定義から、コンサル面接で重視される理由、具体的な解き方の5ステップ、そして頻出パターン(フレームワーク)までを徹底的に解説します。これから対策を始める方も、既に練習している方も、自身の思考プロセスを磨き上げるためのガイドとしてご活用ください。
フェルミ推定の「基本」を理解する
フェルミ推定とは?
フェルミ推定(Fermi Estimation)とは、「実際に調査することが難しいような捉えどころのない数値を、いくつかの手掛かりと論理的な推論によって短時間で概算すること」を指します。
物理学者のエンリコ・フェルミが、学生の思考力を試すために「シカゴにピアノ調律師は何人いるか?」という問いを出したことが名前の由来とされています。
なぜコンサル面接で頻出なのか?
多くのコンサルティングファームの採用面接でフェルミ推定が課されるのには、明確な理由があります。それは、「正解を出すこと」ではなく、「答えに辿り着くまでの思考プロセス」を見ているからです。
コンサルタントの仕事は、「ある新商品をどれだけ売れば利益が出るか?」「新規事業の市場規模はどのくらいか?」といった、正解のない(誰も知らない)問いに対して、限られた情報と時間の中で、確からしい仮説を導き出すことです。フェルミ推定は、この「コンサルタントの実務」を擬似的に再現する最適なテストなのです。
面接官が見ている主な評価ポイントは以下の通りです。
| 評価ポイント | 具体的なチェック内容 |
|---|---|
| 1. 論理性 | 前提条件や計算式に矛盾がなく、筋が通っているか。飛躍した推論をしていないか。 |
| 2. 仮説構築力 | 知識がない部分(未知の数字)を、常識的な数値や類推を用いて、説得力のある仮置きができているか。 |
| 3. コミュニケーション | 自分の考えを構造化し、面接官に対して分かりやすく伝えられているか。 |
【実践】フェルミ推定の解き方「5つのステップ」
フェルミ推定には、黄金の型とも言える「5つのステップ」があります。ここでは、「日本国内の1年間のスキー場の市場規模は?」という例題を使って、そのプロセスを整理します。
| ステップ | 内容 | 具体的なアクション(例:スキー場市場) |
|---|---|---|
| 1. 前提確認 | いきなり計算せず、「何を求めるか」を明確にする。 | 対象:スノーボード客も含むとする 期間:1年間 定義:売上ベース(客数×単価) |
| 2. アプローチ設定 | どのような要素(因数)に分解して計算するか、設計図を描く。 | 市場規模 = 年間延べ利用者数 × 平均単価 (参加人口 × 年間平均来場回数 × 平均単価) |
| 3. モデル化 | 全体をひとくくりにせず、属性ごとに分けて精度を高める。 | 参加頻度で分解 (ヘビー層:年5回以上 / ライト層:年1〜2回 / ノンユーザー) |
| 4. 計算 | 各要素に、常識的な数値や知識を代入して計算する。 | 合計:2,640億円 (参加人口:1,200万人 / 延べ利用者数:2,640万人回 / 平均単価:10,000円) |
| 5. 現実性検証 | 出した答えが「桁外れ」でないか、肌感覚で確認する。 | 日本のレジャー白書などのデータと比較し、感覚的に妥当か確認。 (例:20兆円など国家予算規模になっていないか) |
頻出パターン:2つのアプローチ
フェルミ推定のアプローチには、大きく分けて「需要サイド」と「供給サイド」の2つの型があります。これらを使い分けることで、どんなお題にも対応できるようになります。
| アプローチ | 視点 | 対象例 | 基本的な計算式(フレームワーク) |
|---|---|---|---|
| 需要サイド (個人・世帯) |
「それを消費する人」の数から計算する方法 | スマホの市場規模 紙おむつの市場規模 学習塾の市場規模 |
人口(世帯数) × 保有率(参加率) × 個数(頻度) × 単価 |
| 供給サイド (店舗・施設) |
「それを提供している場所」の数から計算する方法 | 日本にあるコンビニ数 あるカフェの1日売上 電柱の本数 |
店舗数 × 1店舗あたりの売上 (店舗数 = 面積あたりの数 × 国土面積) |
コンサル面接を突破するための「暗記必須データ」
フェルミ推定では、思考の材料となる「基礎データ」を知らないと、推定の精度が著しく下がってしまいます。以下の数値は、コンサル転職を目指すなら常識として頭に入れておきましょう。
| カテゴリ | 項目 | およその数値(日本国内) |
|---|---|---|
| 人口 | 総人口 | 約1億2,500万人 |
| 労働力人口 | 約6,900万人 | |
| 平均寿命 | 約84歳 | |
| 世帯 | 総世帯数 | 約5,000万世帯 |
| 平均世帯人数 | 約2.2人 | |
| 地理 | 国土面積 | 約38万k㎡ |
| 可住地面積率 | 約30%(山地が70%) | |
| 経済 | GDP | 約550兆円 |
| 市町村数 | 約1,700 |
まとめ
フェルミ推定は、コンサルティングファームの入社試験のためだけのテクニックではありません。ビジネスの現場で「新規事業のポテンシャルを見積もる」「トラブルの影響範囲を概算する」といった場面で、強力な武器となります。
大切なのは、「正確な数字を当てること」ではなく、「説得力のあるロジックを組み立て、相手と合意形成を図ること」です。日頃から「この電車の吊り革広告、いくらなら出す価値があるか?」など、日常の風景を数字に置き換える癖をつけることから始めてみてはいかがでしょうか。

